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『リモノフ』Limonov:The Ballad of Eddie

2024年イタリア・フランス・スペイン合作 /133分/R15+

エドワルド・リモノフは、詩人や革命家などいくつもの顔を持ち、世界から危険視されていた。それでも多くの人々を魅了した、実在の人物である。リモノフは、ソビエト連邦下のロシアに生まれ、1950~60年代をウクライナハルキウとモスクワで過ごした。その後、詩人のサロンでエレナと出会い恋に落ち、ロシアから亡命しニューヨークに移住する。ニューヨークで自由を手にしたものの金も居場所もなく、エレナと別れたあとは、孤独と挫折に打ちのめされながら世界と闘い続けた。やがてパリに渡りフランスの文学界で注目を集めるのだが、結局はロシアで投獄されてしまう。リモノフの前半生は不明な点も多いそうだが、ドラマチックで退廃的な人生は、充分な物語だ。そんなリモノフのエピソードを描いた映画である。

リモノフを演じる、ベン・ウィショー Ben Whishaw  1980年10月14日- 英国 ベッドフォードシャー州出身 英国国籍。青年期の荒々しく攻撃的なリモノフから、晩年期のリモノフまで、一人で見事に演じた。演技とはいえ、すごい表現だ。

エレナを演じる、ヴィクトリア・ミロシュニチェンコ Viktoria Miroshnichenko  1994年5月17日- ロシア・イルクーツク出身

リモノフは、ロシア人(一説にはウクライナ人)であるが、全編英語である。ニューヨークでのエピソードが多く描かれているのでなじめなくはないが、ロシアの人からすると不満に思うのではないだろうか。イタリア・フランス・スペイン合作であることから、むしろ共通語の英語で撮ることによって、多くの人に観てほしい希望があるのかもしれない。

この映画は、ベン・ウィショーの精力的な演技に尽きるだろう。精神的に追い詰められていくリモノフが壮絶で、気持ちが収まるところのない映画である、映倫15+がついているけれど、濃厚なセックスシーンもあり、R18+でもいいんじゃないかって感じである。もちろんヴィクトリア・ミロシュニチェンコの演技もものすごい。

物語の主人公:エドワルド・リモノフ本人 Eduard Veniaminovich Limonov Эдуард Вениаминович Лимонов  1943年2月22日 -  2020年3月17日

リモノフは、ロシアにとって反政府運動の主要指導者の一人と捉えられているようだが、むしろロシアを愛していたんじゃないかと感じてしまう。自分はリモノフ本人を知ってるわけじゃないのだけれど、わざと趣旨をはぐらかすような回答をして周囲の反感を招くとか、自分の本心を隠しながら苦しい人生を過ごしてたのではないだろうか。予備知識なくとも、時間いっぱい揺さぶられながら見ることができる映画だ。

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