心地よい映画、ではない。1920~40年代の激動のポーランドが舞台。ナチスの台頭によって町の平和が脅かされる中、物語は進んでいく。
オスカルは自らの意思により三歳で成長を止めた。醜悪な大人の世界を拒否したのである。彼の叫び声にはある周波数の超音波が含まれていた。声でガラスを割る特技を身に着けたのである。オスカルの父親はアルフレートの筈である、戸籍上は。しかし母のアグネスは従兄弟のヤンとの情事を止められず、DNA上はオスカルの父親はヤンの可能性が濃厚だ。マリアは、アルフレートの家に住み込みで働く少女である。マリアはアルフレートの子供を身ごもるのだが、こちらはオスカルの子である可能性をはらむ。
非常に直接的な性表現があり、児童ポルノとして各国で議論が起こった。撮影当時12歳であったオスカルが、相当濃厚で意味深な場面を演じたこともあり、上映禁止となった国もある。
情事ばかりが主体となる映画ではない。戦争に巻き込まれ、オスカルの親族は次々と命を落としてしまう。最後ひとりで精神病院に幽閉されたオスカルの「語り」として映画はナレーションされるのだ。
これを書いているのが2024年、45年前の映画だ。もしかしたら今では描けないことを描いていたのかもしれない。やや長め142分の映画だが、落ち着けない気持ちのまま一気に見てしまった。