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時々映画のこと

舞台「TIME」

カテゴリが舞台なんですが、素晴らしいものを見たから伝えたい。

「TIME」 田中泯 坂本龍一 高谷史郎 宮田まゆみ

2024年3月28日(木)より東京・新国立劇場、2024年4月27日(土)より京都・ロームシアター京都にて上演。今回は東京公演を見に行きました。

新国立劇場 渋谷区本町1-1-1 Tokyo

坂本龍一の音楽は「戦場のメリークリスマス」「ラストエンペラー」など、聞いた瞬間わーすごいと揺さぶられるものがある。一方で、天才の脳内の電気信号を聞くような難解なものがある。なぜこのタイミングでこの音が?と、凡人には分からないのだ。「TIME」は、この難しい方のカテゴリーなのではないかと予想していたら、やはりそうだった。心地よいが難しい。でも観衆は理解できる自分になりたいから、大変な努力をして聴く。そして理解できたふるまいをしようともがく。客席は満席だった。

水を多用した画期的な舞台だ。本当に水を使っている。どうやって降らせるの?どうやって排水するの?防水はどうするの?芸術の前に、素人の発想は余りに現実的だ。それにしても鏡のような水面、波立つ水面、そして背後の見事なスクリーンアート。没入。

田中泯 1945年3月10日- 東京都出身

坂本龍一 1952年1月17日-2023年3月28日(71歳没)東京都世田谷区出身

個人的には、夏目漱石夢十夜」がモチーフ(というよりストーリーの主軸)になっていたことに感動した。女が「もう死にます」と言う。「もう死ぬのかね」と問う。「ええ死にますとも」と答える。・・・本の中で読んだ文字は、こんな音になるのか。「百年はもう来ていたんだな」・・・ああ、誰もが逃れることのできない「時間」。

音・ダンス・映像・文学、ジャンルが違うと思われがちなアートが一体となった。

「TIME」公式HPより

どんなに先だと思っても、必ずその時は来て過ぎて行く。動かせない現実がある。数か月先に予約した旅行は、いつか出発の日が来て、帰宅の日が来る。それと同じように、自分で動けなくなる日は必ず来て、自分の命が終わる日も必ず来て、そして過ぎて行く。多分それ以降、自分は無くなるのだ。生物としての機能が止まり、脳内の電気信号が止まり、一生命体としての自分は終わるのだ。生きた証は遺せても、自分を認識できる自分自身は無くなるのだ。

If you do not refuse it, everything goes happy. あなたがそれを拒否しなければ、全てはうまく行く。今できることを先延ばしせず、一生懸命生きる。

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