violet7688映画のこと

時々映画のこと

『青いパパイヤの香り』Mùi đu đủ xanh / L'ODEUR DE LA PAPAYE VERTE / The Scent of Green Papaya

1993年 フランス/ベトナム 104分 

1951年のベトナムサイゴン。裕福な家に使用人として雇われたムイは、そのとき10歳の少女だった。家の人は夫婦と三人の息子、そして夭逝した一人娘トー。トーは生きていればムイと同じ年齢の筈だった。ある日、一家の長男の友人クェンが家を訪ねてきた。ムイはクェンにほのかな恋心を持った。

使用人として一生懸命働き、10年が過ぎたころ、ムイは暇を出されてしまう。一家の母は、亡き娘トーのために用意していたドレスと宝石を、ムイに渡すのであった。ムイは、あこがれていたクェンの家に雇われることになった。そしてクェンの愛を受けることになり幸せに暮らすのだ。その様子には、本当の愛を感じる。

トラン・アン・ユン監督 Trần Anh Hùng
1962年12月23日- ベトナム・ダナン出身 フランス国籍

トラン・ヌー・イェン・ケー Trần Nữ Yên Khê
1973年ベトナム・ダナン出身
主演、大人になったムイを演じる。

マン・サン・ルー Lu Man San
1980年12月21日- フランス出身
10歳のムイを演じる。

全編にわたり、覗き見のような隠し撮りのようなカメラワークで撮影され、その臨場感がすごい。本当に家族の生活をこっそり見ているような気持になる。木や窓枠で「あ、見えなくなった」「こっち来たら見えた」のような、あのちょっと罪悪感を伴う盗み見の感覚。性的な場面は全く出てこないのに、とんでもなくエロい。

撮影は、パリ郊外に作られたセットで行われた。精巧に作りこまれた建物や道具類は、まさにベトナムの街の中に迷い込んだ印象を与える。また出演者には、当時フランスに在住していたベトナム人が起用された。

トラン・アン・ユン監督はこの映画がデビュー作で、カンヌ国際映画祭で新人監督賞を受賞した。そして主演トラン・ヌー・イェン・ケーはこの映画の後にトラン・アン・ユン監督の配偶者となった。のちの作品では、トラン・アン・ユン監督作品に必ず出演している。

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