violet7688映画のこと

時々映画のこと

『オンリーゴッド』Only God Forgives

2013年 フランス・デンマーク合作 90分

全編にわたって暗くて暴力的である。その暴力は拷問の性質を持つ。ずばりこれは、監督ニコラス・ウィンディング・レフンNicolas Winding Refnの趣味に違いない。舞台は、タイ・バンコク。東洋を舞台に一体何を描きたかったのか。

ジュリアンはタイに住む米国人。兄ビリーと共にムエタイジムを経営している・・・のは表向きの稼業で、実は家族で麻薬の密売を行っていた。あるとき兄ビリーは売春宿のトラブルで殺されてしまう。米国から母クリスタルが駆け付け、兄の敵を討てなかったジュリアンのことを責めるのであった。

元警官のチャンは、異常な暴力性を持つ男であった。徹底的に痛めつけてから殺す。銃を使わず接近戦で相手を痛めつける。これが暗いアジアの犯罪を象徴するかのようだ。ビリーもクリスタルも、チャンによって処刑されるのだが、ジュリアンはチャンの前に自分の両腕を差し出す。それは何を意味するのか?

監督ニコラス・ウィンディング・レフン Nicolas Winding Refn 29 September 1970- デンマークコペンハーゲン出身
この映画は、俳優より先に監督のことを考えた方が良い。ちなみに脚本もレフンである。大変な能力のある人であるのは間違いないが、趣味趣向の方向が普通ではない印象を受ける。ちなみに「ドライヴ(2012年)」と並行してこの映画が撮影されていたらしい。

ジュリアンを演じる、ライアン・ゴズリング Ryan Thomas Gosling November 12, 1980-  カナダ出身
レフン監督作品「ドライヴ」でも主演。この二つの映画はほぼ並行して撮影が進められたらしい。いずれも「寡黙」「とにかく喋らない」役どころで、何考えてんだこいつと見てる方を不安にさせかねない。

ジュリアンとビリーの母であり、麻薬組織のドンを演じる、クリスティン・スコット・トーマス Kristin Scott Thomas 24 May 1960- 英国出身

とにかく恐ろしいチャンを演じる、ヴィタヤ・パンスリンガームVithaya Pansringarm วิทยา ปานศรีงาม 11 August 1959- タイ・バンコク出身

この映画をググると、ライアン・ゴズリングが強そうな画像が出てくるが、実はそれは違う。結局みんなチャンにやられちゃうのである。そうは言っても撮影にあたり、ライアンとレフンは実際にムエタイのトレーニングを行ったという。デンマーク・フランス合作ではあるが、中身はアジア映画である。

本当に神だけでも許してくれるのか?

youtu.be