全編にわたって暗くて暴力的である。その暴力は拷問の性質を持つ。ずばりこれは、監督ニコラス・ウィンディング・レフンNicolas Winding Refnの趣味に違いない。舞台は、タイ・バンコク。東洋を舞台に一体何を描きたかったのか。
ジュリアンはタイに住む米国人。兄ビリーと共にムエタイジムを経営している・・・のは表向きの稼業で、実は家族で麻薬の密売を行っていた。あるとき兄ビリーは売春宿のトラブルで殺されてしまう。米国から母クリスタルが駆け付け、兄の敵を討てなかったジュリアンのことを責めるのであった。
元警官のチャンは、異常な暴力性を持つ男であった。徹底的に痛めつけてから殺す。銃を使わず接近戦で相手を痛めつける。これが暗いアジアの犯罪を象徴するかのようだ。ビリーもクリスタルも、チャンによって処刑されるのだが、ジュリアンはチャンの前に自分の両腕を差し出す。それは何を意味するのか?
この映画をググると、ライアン・ゴズリングが強そうな画像が出てくるが、実はそれは違う。結局みんなチャンにやられちゃうのである。そうは言っても撮影にあたり、ライアンとレフンは実際にムエタイのトレーニングを行ったという。デンマーク・フランス合作ではあるが、中身はアジア映画である。
本当に神だけでも許してくれるのか?
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