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時々映画のこと

『シチリアサマー』Fireworks

2022年製作/134分/PG12/イタリア 原題:Stranizza d'Amuri

最初から最後まで、不安で押しつぶされそうになる映画。次の瞬間、誰かが傷つくのではないか、誰かと誰かがすれ違うのではないか、ずっと心配で明るい気持ちになれない。でも目が離せない。緊張したまま進んでゆき、最後あっけなく終わる。

1982年のイタリア・シチリア島。田舎の狭いコミュニティの中で、少ない選択肢と保守的な価値観が支配する。花火師の仕事を協力し合う16歳のニーノと17歳のジャンニ。友情より進んだ関係に変わってゆくのだが、それを阻止する大人たちがいた。

この映画は、実際に起こった事件に基づく。1980年10月、シチリア東海岸に位置する小さな町ジャッレで悲劇が起きた。25歳のジョルジョと15歳のトニが、何者かによって命を奪われたのであった。彼らが同性愛の関係だったことは、地域のコミュニティに知られていた。それに対して強い偏見を持った者によって殺害されたのであった。しかし、同性愛に対する偏見により捜査は進まず、容疑者はあっても犯人は特定されなかったそうだ。

キャスティングは素晴らしい。ダンサーでもあり体幹がしっかりしたサムエレ、出来上がっていない少年の細さのガブリエル。

サムエレ・セグレト  Samuele Segreto パレルモ 2004年7月23日-

ガブリエル・ピズーロ Gabriele Pizzurro ローマ 2004年- 

これをきっかけに、イタリアでは同性愛の理解を進めるようになったそうだ。この事件の40年後の2020年10月31日には、ジョルジョとトニの遺体が発見された日にちなんで、ジャッレで同性のカップルの民事結婚式が行われたという。そして、ジョルジョとトニの墓に花が添えられたそうだ。ほんの40年前のこと、ジョルジョとトニは少し早すぎたのだ。

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